象は鼻が長い?

「象は鼻が長い」には何故主語が2つあるのか? 「象の鼻は長い」とどう違うのか? amteurlinguist が考える日本語の構文

はじめに

はじめに、このブログは『知らないことを知ってること』という別のブログの、『象は鼻が長い?』というカテゴリーを独立させ、読み易くしようとしたものです。 『知らないことを知ってること』は、当初スペイン語を勉強する方の為に作ったブログでした。 そ…

1. スペイン語の助詞?

これは元は「スペイン語のあいうえお」の中の「寄り道」として書いた記事なのですが、少し手直して、今後書きたいと思っている「象は鼻が長い」の「前置き」に使う事にしました。 1.彼は日本人です。2.象は大きい。3.今日は3月15日。4.明日は学校へ行く…

2. 「好き」と「好く」

かつて「スペイン語のあいうえお」という連載?を書いた時、そこでは、スペイン語の「音と綴りの関係」を自分なりに説明してみました。これはスペイン語のアルファベットとそれを組み合わせてできる音節、いわばスペイン語の要素の中で一番小さな単位の話。…

3. チガくない?

さて『2. 「好き」と「好く」』の最後に書いた「違くない?」はどこが面白いのか?(これも「スペイン語のあいうえお」の寄り道として書いていたもので、編集途中で放ってあったら、「違くない」って表現も今じゃ古くなってしまった感じですが、まあ「ナウい…

4. 美しくある

さて、日本語の形容詞って本当に形容詞なのか?という事を考える前に、そもそも形容詞ってどういう言葉よ? という事になりますが、ここでちなみに、スペイン語文法における形容詞と副詞の定義を見てみると、形容詞: 名詞に伴う言葉で名詞と性数一致して、…

5. 日本語の冠詞?

ところで二つ前の記事、『2. 「好き」と「好く」』で、「私は○○が好き」の例文の主語「○○」を「スペイン」にしたのは実は理由があります。 その理由とは、スペイン=España というのは国の名前、つまり固有名詞なので、冠詞を付けなくても良かったから…(同…

6. 動詞ではなく「ツナギ」

さて今まで、助詞だの名詞だの、形容詞だの冠詞だの、更には動詞だの副詞だのって書いて来ましたが、これは品詞と呼ばれるものですよね? この品詞は、文の部品としての単語が、どういう性格を持っているか、そして文の中でどういう機能、役割を果たしている…

7. 暗黙の文法

『1. スペイン語の助詞?』、そして『6. 動詞ではなくツナギ』において、英語の構文分析とスペイン語の構文分析で大きく違っている事のひとつとして、「○○は~~」という文型を挙げました。 簡単におさらいすると、英語では「S(主語)+V(動詞)+C(補語…

8. 象は大きい

さて、前回『7. 暗黙の文法』の終わりに書いた「象は鼻が長い」と「象が鼻は長い」はどう違うのか? (そもそも「象は鼻が長い」という文には、ひとつしかない述語に対して何故主語がふたつある…ように見える…のか? これは日本語教育において散々議論されて…

9. 象が走る…

さて、スペイン語の構文分析を応用して日本語の構文分析を考えるというのは、個人的にはごくごく自然な流れだったのですが、でも大半の日本人にとってスペイン語は未知の言語で、又仮にスペイン語を勉強したとしても、構文分析という分野には余り踏み入らな…

10. 象が走る速さ

さて、前回挙げた17の複合文ですが、既に述べたように、主語を表していると思われる「は」と「が」を赤字で表しました。そして複文の主文(主節)と見做される部分を太字にしてあります。という事は、太字部分のない 1、2、5 は、構成する単文の間に主従関係…

11. 象は鼻が長い

いよいよ『象は鼻が長い』の最終回です。最初に数回に渡って述べて来たスペイン語的(スペイン語の構文分析を参考にした)構文分析について簡単にまとめてみます。 単文:主語と述語動詞ワンセットから成る単位。主語は省略される事がある。述語動詞が自動詞…

あとがき

先生の名前は確かマリア・ルイサ、苗字はもう覚えていない。リンパ系の難病を抱えていて、右か左か忘れてしまったけど、体の縦半身が異様に浮腫んでいた。 ヘビー・スモーカーで、授業中でも fortuna というスペインの煙草をスパスパ吸っていた。(受動喫煙…

2022年6月15日の追記

(目次の仕様により架空の日付で投稿) ひたすら古い書類等を整理していたら、日本語教師の勉強をしていた頃に書いた「『は』と『が』について考える」というのが出て来た。このブログの元の元になったようなメモですね。かなり大量で、もうここにまとめたん…

1. El que sabe, ¿saba? 「違いの分かる人の…」

タイトルを見て、えっ? それって間違いでしょ?動詞 saber の3人称単数系は sabe でしょ?スペイン語を勉強してるあなたは、そう思ったでしょ? でも、もうかれこれ10年以上も前、スペインのテレビのコマーシャルで、確かにこう言ったのだ。 もっとも最後…

2. Una cabecita de ajo 「ニンニクの頭ちゃん」

ん? 「にんにくの頭?」 それにに縮小辞のついた diminutivo??? ・・・ってことは「カワユイ」というか、「頭ちゃん」て、愛情こめて言ってるわけ?確かに、にんにくを栽培してる農家の人とか、丹精込めて育てた作物に対して縮小辞を使ってもおかしくはないよね…

3. esca’l’abajo japonés 「ニッポンコガネムシ」

初めに断っておきます。タイトルの “escalabajo” という単語、スペイン語の辞書で引いても出てきませぬ。正しくは ‘escarabajo’ であります。 1980年代の初め、初めてスペインに行った時に住んだ家具付きの貸家には、古いテレビが置いてあった。スペイン語で…

4. “Voy” o “Me voy”

どっちも「行く」ってこと? でもひとつは普通の動詞で、もうひとつは再帰動詞… この再帰動詞ってのがクセモノです。日本語にも英語にもない。不定法にも再帰代名詞の SE が付いていて、それが動詞の活用に応じて ME, TE, SE, NOS, OS, SE と変化する、ヤッ…

5. “Se prohíbe fijar … ?” 「見ちゃあいけないもの?」

初めてスペインに行った1980年ごろ、街のあちこちで "SE PROHIBE FIJAR" というような標語を見かけた。 "PROHIBIDO FIJAR…" などと書いてある場合もある。建物の外壁やシャッター扉などに、ペンキで、落書きみたいな感じで書いてあった。 "FIJARSE" というの…

6. mmm… 「デオキシリボ核酸」を日本語で言うと?

日本におけるスペイン語学って、たとえば英語学に比べると、かなり淋しい。辞書・参考書の数も少ないし…技術系の通訳や翻訳をする機会が結構あったのですが、そういう時に使える市販の参考書類って、先ずないです。 で、どうするか?身内の会議ならば技術用…

7. Para contar en español…  「スペイン語は数が数えられる…」

(パソコン、スマホ等、ご覧になる画面の仕様によっては表がずれて見にくくなるかもしれません。ご不便をおかけしますが、筆者の技術力では直せませんので、お許し下さい。) 「ニンニクの頭ちゃん」を読み直してて思ったんだけど… この際、スペイン語の数の…

8. ¿Cuál es tu nombre? 「あなたの名前はドレ?」

あなたの名前は「どれ」ですか?…って…スペイン語では名前を聞く時に "cuál" (どれ)という疑問詞を使うのですが、何故「何」ではなくて「どれ」を使うのか? って思ったこと、ないですか? そういえばスペイン語を習い始めた頃に聞いていた会話のテープに…

9. ¿Quién es la última? 「ドンジリはどなた?」

若い頃、新聞の文化欄などで海外の音楽や映画の紹介をしてるのによく出て来た表現で、「最後のナニナニ」というのがあった。「最後のエンターティナー」だとか「最後の大物俳優」だとか「今アメリカで最後の歌手と言われているベット・ミドラー」…なーんてネ…

10. Parpadeo eficaz 「効果的なマバタキ」

「効果的な」とか「有効な」っていう意味のスペイン語。幾つかあって結構使い分けが難しい。…というか、実は未だによく分かっていない。例えば ‘eficaz’ だとか ‘eficiente’ だとか、それから ‘efectivo’ だとかって、一体どういう時にどれを使えばいいんだ…

11.Guata  「ゥワタ」

ある時、スペインの犬はなんと吠えるか? という質問を受けた。物の本によると guau guau と書くみたいだけど、これはどう発音するのか? グァウ グァウ? それともガウ ガウ? 日本の犬はワンワンと鳴く(吼える?)。英語圏の犬は確か wow wow。でも日本の…

12. Una peli, con Feli 「テレビで冬ソナ…」

タイトルの日本語おかしい? はい、全然意味違います。実は今日書きたかったのは、スペイン語の「省略語」について。で日本語訳の方も、なんかうまい省略語がないかなあと思い、ネットで検索までして…やっとひねり出したのがこれなんだけど…。 それにしても…

13. Cerramo lo miercole 「すいよはしめま」

前回の「テレビで冬ソナ」に続いて、タイトルの日本語おかしいですね。これはタイトルのスペイン語が、 Cerramos los miécoles をアンダルシア訛りで書いたものだからで、つまり「水曜は閉めます」が「すいよ、しめま」みたいになってると…なんとなく大阪弁…

14. Me debes una peseta 「1ペセタ おまけ!」

このタイトルは、はるか26年位前に、マドリッドのある市場で肉屋さんに言われた言葉。小銭の持ち合わせが1ペセタ足りなかった時、肉屋さんにこう言われた私は、「1ペセタ貸しダヨ」と言われたと思って、別のところで1ペセタ硬貨のお釣りを貰うやいなや…

15. Adiós, buenos días 「さようなら、でも、こんにちは?」

「おはよう」又は午前中の「こんにちは」= Buenos días 、午後の「こんにちは」= Buenas tardes …そして「こんばんは」= Buenas noches … で Buenos días はお昼ごろまで、或いは昼ごはんを食べる前なら使えて、Buenas tardes は昼ご飯から晩ご飯までの間…

16. En un pispás 「ピッパッって間に」

En un pispás……エン・ウン・ピスパス、と読む。パにアクセント。厳密に言うとエンとウンは繋がっちゃうし S には母音が付いてないので、エヌンピッパッって尻上がりに発音すると、感じ出るかも。意味は直訳すると「ピッパッって間に」…??? この言葉、実は…